関節可動域(ROM)の原因と制限因子について

参考関節可動域

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関節可動域の制限因子の種類

まずは、どのような制限因子があるのか理解を深めていこう。なぜなら治療アプローチの方法は関節可動域の制限因子ごとに異なるためである。ただ実際には複数の関節可動域の制限因子が混在していることが多い。

主な制限因子の種類を下記に記す。

  1. 痛み
  2. 皮膚の癒着や可動性(伸張性)の低下
  3. 関節包の癒着や短縮
  4. 筋・腱の短縮および筋膜の癒着
  5. 筋緊張増加(筋スパズム)
  6. 関節内運動の障害
  7. 腫脹・浮腫
  8. 骨同士の衝突

続いて、制限因子ごとのエンドフィール(endfeel)について確認する。

制限因子の種類 エンドフィール(endfeel)
痛み 無抵抗性
皮膚の癒着や可動性(伸張性)の低下 軟部組織伸張性
関節包の癒着や短縮 軟部組織伸張性(急に硬くなる)
筋・腱の短縮および筋膜の癒着 軟部組織伸張性(徐々に増加)
筋緊張増加(筋スパズム) 筋スパズム性
関節内運動の障害 様々な感触
腫脹・浮腫 軟部組織接触性・伸張性
骨同士の衝突 骨性(ゴツゴツする感じ)

それぞれの制限因子に対する治療アプローチ

痛み

対象者の訴え(痛み)により、それ以上の可動域の拡大が見込めない場合に該当する。術直後の訓練や五十肩の初期などの有痛性疾患によくみられる。

関節可動域を増やそうとすると防御収縮が起こり、痛みが増加する。痛みを軽減させることで関節可動域が拡大するが、新たな制限因子が現れることもある。

痛みを軽減させるためには物理療法を用いたり、認知面に焦点を当ててリラックスさせることが重要である。持続的他動運動装置(CPM)も有効である。さらに重力を利用した運動も効果的である。
(例:コッドマン体操)

皮膚の癒着や可動性(伸張性)の低下

エンドフィールは皮膚が突っ張ったような感じである。運動時に傷の周辺に痛みを訴えることが多い。

特に術創の部位の皮膚が癒着していることが多く、傷周辺の皮膚を指で押し、癒着を剥がして伸張性を高めることが重要である。関節運動を介さずに直接的に皮膚のストレッチを行うことが傷の癒着に効果的である。

関節包の癒着や短縮

関節周囲の手術や長期固定が主な原因である。エンドフィールは最終域で急に硬くなる。

スタティックストレッチングが適当となるが、肩関節では肩甲骨の固定を、股関節では骨盤の固定を十分に行う必要がある。

筋・腱の短縮および筋膜の癒着

関節可動域の制限因子の中でも割合が多い。

原因はギプス固定・癒着・外傷・手術による筋や腱の短縮などであり、エンドフィールは最終域に近づくにつれて抵抗が強くなる。スタティックストレッチングホールドリラックスが適応となる。

筋緊張増加(筋スパズム)

持続的な痛みや姿勢異常(アライメント異常)により生じることが多い。

エンドフィールは最終域で急に制限される場合と、全体的に筋緊張が亢進している場合がある。内容としては筋の緊張により短縮しており、コラーゲン線維などの構造的な短縮はみられない。軽度の負荷での筋収縮の反復PNF応用ストレッチングが効果的であることが多い。

痛みやアライメント異常の直接的なスパズムの原因に治療アプローチを行わないと、直後に改善がみられるだけで、1~2時間後には可動域は元に戻ってしまうことが多い。

関節内運動の障害

大半は関節包の短縮に起因する。

エンドフィールは様々で、無抵抗性・軟部組織伸張性・筋スパズム性など。関節包のストレッチ関節モビライゼーションが適応となる。

腫脹・浮腫

そもそもの原因である腫脹や浮腫を除去することが関節可動域の獲得に最も重要である。

治療アプローチの方法として、「寒冷療法、弾性包帯による圧迫、ハドマー、浮腫の部位を挙上させた状態での運動(筋のポンプ作用)」を行う。
※ ハドマー(空気圧を用いて、四肢に圧迫と解放を繰り返し行い、リンパなどの循環を促進させる機械)

骨同士の衝突

互いの骨が衝突して関節可動域が制限される。

注意すべき点として、骨同士がぶつかり合うため、ストレッチングは禁忌にあたる。直接的な治療はセラピストではなく、医師である。

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