注意とは?
対象の認知・言語・記憶・思考をはじめとする高次脳機能に関係する不可欠神経機能である。
そもそも人間の注意力は、一定時間内に処理できる量が限られている。そのため外部からの刺激に対し、自分自身に必要な情報のみを瞬時に取捨選択しなければならない。時には他の刺激に対して注意を向ける必要もある。
そこで適切な情報に対し、意識の集中・持続・分配・転換を行う機能を注意と考える。
小学生でも分かる注意機能
上記の内容を分かりやすく理解するために”自動車の運転”を例に考えてみます。
自動車を安全に運転するために必要な情報とは一体どのような情報でしょうか。
安全に運転するためには、前を走っている自動車、左右または後続車、他にも信号や歩行者など様々な情報に注意を向けることが必要になります。それらの情報に対して並行あるいは選択的に注意を向け続けながらも、リアルタイムに変化する新しい情報にも注意を向けなければいけません。反対に必要が無い余計な情報は除外して記憶から消去する必要があります。
このように一言で注意といっても、意識の集中・持続・分配・転換など注意には様々な能力が必要になります。
注意機能(障害)の分類
文献によって種類や分類が若干異なることがありますので御注意を。
持続的注意
機能:長時間にわたって課題の遂行に注意を維持・保持する機能。
例:時計の針が動くのを長時間ずっと見つめる。
好きな小説を読む。
障害:集中力の欠如に繋がり、すぐに気が散ったり、飽きっぽくなる。
例:ずっと時計を見つめることができず、注意が他に向いてしまう。
直ぐに疲れたり、他の物事に興味が向いてしまう。
選択的注意
機能:複数の情報の中から必要な情報のみを特定して選択する機能。
例:人混みの中で話し相手の声だけを聞き取ることができる。
書店で自分が欲しいものだけを本棚から特定することができる。
障害:様々な刺激に対して適切な情報のみを獲得することが困難になる。
例:話し相手の声だけを聞き取ることができず、周囲の雑音も耳に入り、不快感を感じてしまう。
書店で欲しいものを見つけることができず、疲労や苛立ちに繋がってしまう。
分割的(分配)注意
機能:2つ以上の対象や課題を並行して処理する際に働く機能。
例:学校で講義を聴きながらノートをとる。
ラジオから流れる音楽を聴いて、鼻歌を歌いながら自動車の運転をする。
障害:複数の作業を並行して行うことが困難になる。
例:講義の内容をノートに書こうとするが一瞬にして忘れてしまう。
ひとつのことに集中すると周りが見えなくなる。
抑制機能(転換的注意)
機能:目的と関係ない情報の処理や不適切な行為を抑える機能。
例:自動車の運転中に同乗者の会話に聞き入ることなく、運転に集中している。
障害:目的と関係ない情報の影響を受けやすくなり、情報の取捨選択が困難になる。
例:自動車の運転に集中せず、同乗者の会話を聞き入ってしまう。