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そもそもアウェアネス(awareness)ってなに?
普段聞き慣れない言葉かと思いますが、意識または気付きなどの意味を持ちます。
高次脳機能障害者に当てはめる場合は「自己認識」といったほうが理解しやすいかもしれません。
このアウェアネスが障害されてしまうと、客観的に自分自身を捉えることが困難になり、
日常生活・リハビリテーション・復職などに様々な影響を及ぼします。
アウェアネス(awareness)の重要性
実はアウェアネスの障害は高次脳機能障害者の多くにみられ、
高次脳機能障害の様々な症候の中でも、最も困難な障害のひとつです。
自分自身を客観的に捉えることが出来なくなるため、
仮に自分には障害は無いと思い込んでいる患者がいた場合、
本人の意欲も含めて、有効なリハビリテーションを提供することが難しくなります。
最悪の場合はリハビリの拒否のほか、医師やセラピストとの関係性が悪化してしまいます。
例えるなら、「勉強って何の為にするの?必要ないじゃん」と思い込んでいる子供に
「将来的に必ず自分の為になるから勉強しなさい」と言っているようなものです。
勉強なんて必要無いと思い込んでいる子供にそのようなことを伝えても効果はありませんよね。
アウェアネス(awareness)障害の階層構造・段階レベル
Bruce Crosson(1996)はアウェアネス障害を下記の3階層に区別しました。
・知的アウェアネス(intellectual awareness)
・体験的アウェアネス(emergent awareness)
・予測的アウェアネス(anticipatory awareness)
※ 予測的アウェアネスが一番高位なレベル
知的アウェアネス:障害に全く気付いていない~知っている段階
体験的アウェアネス:自分の体験と知識が結びついて障害を実感できている段階
予測的アウェアネス:それらを理解した上で問題が起きないように予測して行動する段階
アウェアネス(awareness)障害に対するアプローチ
個別アプローチ
高次脳機能障害という障害は一区切りには出来ません。
人それぞれ障害の程度が異なりますし、症状も異なります。
そのため、まず最初に評価を行いましょう。
評価を行うことで、現在の状態を把握することが出来ますし、関係性の構築にも繋がります。
また評価結果を本人にフィードバックすることで認識(知的アウェアネス)を促す効果があります。
フィードバックする際の注意点として、標準化という手法を用いると良いでしょう。
例えば「脳梗塞の後遺症として、○○といったことが起きる場合もある」とあくまで一般論として伝えることで、本人に現実を突きつけることなく、さらなる認識を促すことが出来ます。
また現状の問題や今後の問題に対して、どのような対応が好ましいのかを説明していき、少しでも本人や支援者が安心して日々の生活をおくられるようにすることが重要です。
その後は訓練を行っていく中で、本人が直面した問題に対してどのように対応していったのかなどを聴取し、知的アウェアネスを深めていきながら、併せて体験的アウェアネスへの理解を促していきます。
グループアプローチ
個人アプローチとは異なる効果が得られるのがグループアプローチです。
医師やセラピストが説明している際に、周りの人がメモを取り始めると、
これまでメモを取ることが無かった人もメモを取り出して書き始めたりする。
その他にも個別で対応している場合は、どうしても感情的になってしまうこともあるが、
集団の場合は、感情を抑えて客観的に自分の状態や助言を理解しようとする姿がみられる。
と、上記のようにグループアプローチは個人アプローチとは異なる効果が得られます。
グループの人数は4~6人といった少人数で、各々の体験談等を述べてもらうと良いでしょう。