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手術療法の適応など
発症後6ヶ月以上のリハビリを行ってから最大限の上肢または下肢の機能を獲得した後に手術を検討する。
術前に上肢または下肢の機能障害の評価に加え、感覚・失行・失認などの高次脳機能や認知機能などの障害も併せて評価し、その上で手術療法を決定する。
術式の選択に関しては、痙性・不随意運動・失調の程度を考慮し、ブルンストロームの回復ステージや連合反応、共同運動、分離運動を評価する。
ワンポイントおよび注意事項
・腱移行の力源には分離運動が十分に可能な筋を用いる。
・共同運動が十分にできる筋は、共同運動を利用して腱移行が可能である。
・腱延長にはスライド延長や分節上延長を選択し、過延長にならないように注意する。
上肢痙性麻痺に対する手術法
痙性麻痺手の変形の主な原因は、手関節や手指の屈筋群および手の内在筋の強い痙性と、手関節や手指の伸筋群の筋力が弱いことが原因である。
Stage.Ⅰ~Ⅲ | 浅指屈筋の深指屈筋への腱移行 手関節・手指・母指屈筋群の腱延長 母指球筋の解離 |
Stage.Ⅲ~ | 手指・母指伸筋群の腱固定、母指MP関節固定 尺側手根屈筋・腕橈骨筋・長掌筋の手関節・母指・手指伸筋への腱固定 |
内在筋プラス拘縮 | 尺骨神経運動枝の切離 |
肘関節屈曲拘縮 | 上腕二頭筋・上腕筋・腕橈骨筋の切離 |
肩関節内転内旋拘縮 | 大胸筋・肩甲下筋・大円筋・広背筋の切離 |
下肢痙性麻痺に対する手術法
痙性麻痺足の変形の主な原因は、下腿三頭筋・後脛骨筋・長趾屈筋・長母趾屈筋の強い痙性と、前脛骨筋・長趾伸筋・長母趾伸筋・腓骨筋群が弱いことが原因である。
Stage.Ⅰ~Ⅲ | 下腿三頭筋・後脛骨筋・長母趾屈筋・長趾屈筋の腱延長 前脛骨筋・長腓骨筋腱のアキレス腱への固定 |
Stage.Ⅲ~ | 長母趾屈筋・長趾屈筋の前方移行 前脛骨筋の外側移行 足部三関節固定 |
膝関節屈曲拘縮 | 膝屈筋群の腱延長 |
股関節内転内旋拘縮 | 内転切離・腸腰筋の腱延長または切離 閉鎖神経の運動枝の切離 |