拘縮の定義と分類(種類)を再確認しよう

拘縮の一例

拘縮の定義

一般的に関節周囲の軟部組織が原因で生じた関節可動域制限を拘縮と呼んでいる。

詳しく述べると、「皮膚や骨格筋、腱、靭帯、関節包などの関節周囲軟部組織の器質的変化に由来した関節可動域制限」拘縮の定義である。

ただし、筋攣縮(筋スパズム)や痙縮などの筋収縮による関節可動域制限は該当しない。つまり筋収縮が発生していない状況下で関節周囲軟部組織の特性である柔軟性・伸縮性が低下し、これが原因となって関節可動域制限が生じている場合は拘縮が発生しているといえる。
 

拘縮の病変部位による分類

発生時期によって先天性拘縮後天性拘縮に分類される。
後者は病変部位や原因によって分類され、今回は後天性拘縮の分類を紹介していく。

皮膚性拘縮

皮膚ならびに皮下組織の伸張性が低下したことによって生じる拘縮である。
これからの組織は主にコラーゲン線維で構成された結合組織であり、熱傷後や皮膚挫創後の瘢痕化および強皮症における皮膚の硬化といったように、皮下組織を構成する結合組織が器質的に変化したものである。

筋性拘縮

筋線維自体の伸張性が低下した場合と筋膜の伸張性が低下した場合があり、後者は結合組織が器質的に変化したものである。

靭帯性拘縮

靭帯の伸張性が低下したことによって生じる拘縮で、靭帯も結合組織で構成されているために器質的変化に由来する。

腱性拘縮

腱の伸張性が低下したことによって生じる拘縮で、腱も結合組織で構成されているために器質的変化に由来する。

関節性拘縮

関節包(滑膜を含む)の伸張性が低下したことによって生じる拘縮で、これらも結合組織で構成されているために器質的変化に由来する。

拘縮を分類する上での注意点

一般的に後天性拘縮ではHoffaの分類を用いることが多いが、今日の拘縮の定義には該当しないものがあるため、今回は沖田 実が提案する拘縮の分類を紹介している。
 

拘縮の原因による分類

拘縮の原因が結合組織または筋線維にあるのかで分類される。

結合組織性拘縮

結合組織によって構成される”皮膚・皮下組織・筋膜・靭帯・腱・関節包”が原因で生じる拘縮で、結合組織が器質的に変化したことに由来する。これらの中で、拘縮に強い影響を及ぼすのが皮膚(真皮)・筋膜・皮下組織・滑膜であり、さほど拘縮に影響を及ぼさないのが靭帯・腱である。
理由として、前者はコラーゲン線維が長軸方向に配列しているなど伸縮性に優れており、器質的変化が生じると強い影響を及ぼしてしまう。後者はコラーゲン線維が平行に走行しているために伸縮性に乏しく、器質的変化が生じても強い影響は及ぼさない。

筋線維拘縮

筋節長の短縮や筋線維の配列の乱れ、Z帯の断裂など、筋線維自体が器質的に変化すると滑走が制限される可能性があり、そこから拘縮が生じると考えられている。ただし研究報告や事例は少ないため、今後はどのような扱いになるのかは不明。