防衛機制とは
耐え難い不安・苦痛・罪悪感・恥などの感情や本能を無意識化し、精神的な安定を図るような心の働きを防衛機制といいます。自分の心を無意識的に安定させようとする働きといったほうが分かりやすいかもしれません。
現代社会はストレス社会であり、いかにそれらのストレスを軽減させるのかが日常生活を営む上で重要なものとなっています。
防衛機制の種類と例
種類 | 特徴・キーワード | 具体的な例 |
合理化 | 自分の行為や考えを正当化するような説明をしたり、強引な理屈づけを行う。 | 食べられなかったイチゴを「酸っぱいからいらない」と理由をつけて正当化する。 |
反動形成 | 満たされない欲求を正反対の欲動によって打ち消すこと。 | 好きな子ばかりをいじめてしまう。 |
投影または投射 | 自分の欠点や攻撃性を他人の中に見出し、他人を攻撃することで自分の中の劣等感や攻撃性をないものとする。 | 先生が嫌いという感情を抑えて、先生が自分を嫌っていると思い込む。自分が好きなのに、相手が自分のことを好きだと言いふらす。 |
取り入れ | 自分にとって好ましい人・理想とする人の特徴を取り入れて真似をし、それにより自分の欲求を満足させること | 好きなタレントの化粧や髪型を真似る。あたかも母親のように妹を叱る。 |
分離 | 強い感情を伴った観念から感情を引き離した状態。 | 嫌いな人に対し、笑顔で挨拶をする。 |
抑圧 | 容認しがたい自分の欲求を無意識に抑えつけてしまう。 | 自分の中に存在する攻撃性などを無意識に抑えつける。 |
代理 | 欲求が満たされない場合に、本来の目標に対して別の目標に刷りかえる。 | 好きな異性と付き合えないので、好きな人の写真をみつめる。 |
象徴化 | 無意識の観念や概念などを間接的な別の事物で代理表現する。 | 去勢される不安に対してハサミを連想する。 |
補償 | 劣等感を感じた時に、その劣等感を克服するために何らかの方法で補おうとする働き。 | 病気がちな体質を学問で補う。または体を鍛えて体質を変えていく。 |
置き換え | 受け入れがたい自分の感情を、他の対象にぶつけて解消すること。 | 親を攻撃するかわりにペットの猫をいじめる。 |
昇華 | 抑圧された基本的な欲求を社会的に容認された方法で解消すること。 | 日常の不満をスポーツで発散する。好きな人への思いを音楽や詩で表現して発散する。 |
空想 | 現実には実現しない欲求を空想の中で満たすこと。 | 妄想の数々。 |
打ち消し | 反道徳的な考えや行為などに伴う罪悪感を、これとは反対の行為で補おうとすること。 | 相手を激しく攻撃した後に、その相手を褒めたり、埋め合わせや償いを無意識に行う。 |
退行 | ある程度の発達を遂げたものが、危機に直面した際に子供がえりして、未熟な行動によって当面の困難を避けようとする。 | 弟や妹が生まれた際に、両親の愛情が自分から弟妹に移ってしまうことを恐れて、おねしょなどをして両親の手を煩わせること。 |
否認 | 容認したくない感情、経験を実際には存在しなかったのように振舞う。 | 好きな人に振られたのに、自分から振ったのだと思い込むこと。 |
行動化 | 情緒的な葛藤やストレス因子に対し、内省をせずに実際の行動で対処する。 | 医者に不満を持った患者が、問いかけても沈黙を続ける。 |
知性化 | 欲動や感情を論理的あるいは抽象的に考えたり、それらに関する知識を得たりなどして感情をコントロールする。 | 自分に性衝動があることを直視しないで、性に関する知識を得ようとすること。 |