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FIMの概要
正式名称は Functional Independence Measure で、日本語で機能的自立度評価法といいます。BI(Barthel Index)と並ぶ、最も臨床で使用されているADLの評価法です。
FIMは主に介護量測定を目的として、全18項目を介護量に応じて完全自立~全介助までの7段階で評価します。BIと比較してFIMは変化への感度が高いとされており、その理由はコミュニケーションや社会的認知を含む、実際に日常生活で行っている動作を評価するため変化が確認しやすいという大きな特徴があります。
FIMのような標準化された評価を用いることは、対象者の現在状況だけではなく、継時的変化や予後予測を客観的に明確に把握することにも繋がります。また医学的な知識は必要ないため、正しく内容を把握しておけば、専門職でなくても採点できる評価法です。
そもそもADLとは?
上記でも説明しましたが、FIMはADLの評価法です。これは必ず覚えておきましょう。
ADLの定義を日本リハビリテーション医学会から引用させて頂くと…
一人の人間が独立して生活するために行う基本的なしかも各人ともに共通に毎日繰り返される一連の身体的動作群をいう。この動作群は、食事・排泄等の各動作(目的動作)に分類され、各動作は、さらにその目的を実施するための細目動作に分類される。リハビリテーションの家庭やゴール決定にあたって、これらの動作は健常者と量的・質的に比較され、記録される。
と、分かるようで分からない言葉が長々と続きます。
ADLを簡単に説明すると、皆さんが普段行っている日常生活動作を指します。例えば、朝起きて着替えたり、歩いてトイレに行ったり、鏡の前で身だしなみを整えたり、食事やお風呂などもADLに該当します。つまり日常生活を営むために最低限必要な能力と覚えておくといいでしょう。
FIMを行う目的
①.対象者の自立度と介護量を把握する。
②.他職種との情報共有を正確かつスムーズに伝えることができる。
③.アプローチ方法などを含め、治療計画の立案から治療の効果判定まで行える。
④.予後予測の指標になり、家族やキーパーソンに分かりやすく説明できる。
⑤.生活を営んでいくために必要最小限の項目(日常生活動作)を出来るだけ短時間で把握することができる。
FIMの評価項目一覧
評価項目は全18項目からなり、詳細は後述しますが7段階で評価していきます。
セルフケア(6項目)
食事、整容、清拭、更衣(上半身)、更衣(下半身)
排泄コントロール(2項目)
排尿コントロール、排泄コントロール
移乗(3項目)
ベッド・車椅子、トイレ、浴槽・シャワー
移動(2項目)
歩行・車椅子、階段
コミュニケーション(2項目)
理解・表出(言語・非言語)
社会認識(3項目)
社会的交流、問題解決、認知
FIMの採点基準・採点方法
FIMの採点基準には2つのポイントがあります。
ひとつ目は介助が必要なのかどうか。ふたつ目が介助が必要な場合に介助量はどの程度なのかを把握することがポイントになります。
この2つのポイントを把握した後で、それぞれの動作の介助量を1点~7点で評価していきます。評価項目が全て満点であれば126点、全てが全介助である場合は18点となります。気を付けて欲しいことは最低得点が0点ではなく1点であることです。
点数 | 介助量 | 内容 |
7 | 完全自立 | 補助具または介助なしに適度な時間内に自立して安全に行える。 |
6 | 修正自立 | 時間が掛かる。補助具を使用。服薬している。安全性の配慮が必要。 |
5 | 監視または準備 | 監視・準備・指示・促しが必要.介助は10%未満。 |
4 | 最小介助 | 手で触れる以上の介助は必要なし。75%以上90%未満自分で行う。 |
3 | 中等度介助 | 手で触れる以上の介助が必要。50%以上75%未満自分で行う。 |
2 | 最大介助 | 25%以上50%未満自分で行う。 |
1 | 全介助 | 25%未満しか自分で行わない。 |
FIMを行う上での注意点
対象年齢が7歳以上であるため、7歳未満を対象にFIMを行う場合、子供たちのための機能的自立度評価法(WeeFIM)を使用すること。