突発性難聴の診断基準と重症度分類について

突発性難聴を患う男性

突発性難聴の概要

健康的で耳の病気を経験したことがない方が、原因不明で突発的に発症する難聴を突発性難聴といいます。多くは一側性(左右どちらかのみ)であり、繰り返すことのない感音難聴です。

一般的には年齢が40代~50代の方に多く、男女差はありません。年間の推定受療者数に関しては約35,000人といわれています。
 

突発性難聴の症状と覚えておくべきこと

基本的に原因不明であり、一側性に突発的に難聴が発症しますが、稀に同時または異なる時期に両側の耳で発症することもあります。

難聴の出現と同時に多くの症例で、めまい・ふらつきの自覚症状があります。さらに人によっては耳鳴りや耳が詰まったような感覚に陥る方もいます。

※ 必ず覚えておくこととして、突発性難聴では耳以外の神経症状(四肢麻痺や意識障害など)が認められないのが特徴です。
 

突発性難聴を診断するための基準について

厚生労働省が作成した1973年版の診断基準と、それを改訂した2015年版の2つの診断基準を記載します。
 

(過去)1973年の診断基準について

突発性難聴の診断基準は、下記ⅠおよびⅡの全条件に該当する場合です。疑い例としてはⅠの1および2に該当する場合です。

Ⅰ.主症状の特徴
1.突然に難聴が発生する
2.難聴の性質が高度な感音難聴である
3.難聴が発生した原因が不明である
Ⅱ. 随伴症状の特徴
1.耳鳴りが難聴と同時に発生するか、または前後して発生する
2.めまいが難聴と同時に発生するか、または前後して発生するが、めまいが繰り返して発生することはない
3.第8脳神経以外に顕著な神経症状を伴うことはない

 

(現在)2015年改訂の診断基準について

突発性難聴の診断基準は、主症状の全事項に該当した場合に突発性難聴と診断できます。

主症状
1.突然発症
2.高度感音難聴
3.原因不明
参考事項
1.難聴(純音聴力検査で隣り合う3周波数で各30dB以上の難聴が72時間以内に生じた)
 (1) 急性低音障害型感音難聴と診断される例を除外する
 (2) 他覚的聴力検査またはそれに相当する検査で機能性難聴を除外する
 (3) 即時的な難聴。目覚めて気付く難聴が多いが、数日かけて悪化する例もある
 (4) 難聴の改善・悪化の繰り返しはない
 (5) 一側性の場合が多いが、両側性に同時罹患する例もある
2.耳鳴り
 難聴の発生と前後して耳鳴を生ずることがある
3.めまい、および吐気・嘔吐
 難聴の発生と前後してめまい、および吐気・嘔吐を伴うことがあるが、めまい発作を繰り返すことはない
4.第8脳神経以外に顕著な神経症状を伴うことはない

 

突発性難聴の重症度分類と注意事項について

最後の注意事項に記載していますが、この重症度分類は発症後2週間までの症例のみに適用することに注意してください。

Grade1 40dB未満
Grade2 40dB以上、60dB未満
Grade3 60dB以上、90dB未満
Grade3 90dB以上

 
【注意事項】
1.純音聴力検査にて、0.25kHz・0.5kHz・1kHz・2kHz・4kHzの5つの閾値の平均とする。
2.この分類は発症後2週間までの症例に適用する。
3.初診時めまいが有る場合はaを、無い場合はbを付けて区分する
(例:Grade3a、Grade4b)