目次
検査概要
正式名称は「Trail Making Test(トレイルメイキングテスト)」といい、TMT-A検査とTMT-B検査の2つで1セットの検査である。
この検査では、限定された紙面空間内で文字や数字の刺激を用いて、数字の順序性や数字と文字の切り替えに取り組んで頂き、それに伴う注意機能の持続と選択、さらに視覚的探索や視覚運動協調性などの要素を確認するための検査である。
TMT-A検査とTMT-B検査の違い
TMT-A検査の説明
A4用紙に1~25までの数字がランダムに配置されており、被験者に1から順番に1→2→3と鉛筆で線を結んでもらい、最後の数字である25に到達するまでの所要時間を計測する。
TMT-B検査の説明
A4用紙に1~13までの数字と「あ」から「し」までの仮名がランダムに配置されており、被験者に1→あ→2→い→3…といったように数字と仮名を交互に鉛筆で線を結んでもらい、完了するまでの所要時間を計測する。
A検査とB検査の共通点と異なる点
どちらの検査にも共通するのは「視覚性の探索能力」や「注意機能の選択性注意」が関係するという点である。さらに、TMT-B検査では数字と文字を交互に線で結ばなければならないため、「ワーキングメモリ」や「注意機能の分配性注意」が関係する。
そのため、単純な作業速度の低下や視覚性の探索障害であれば、TMT-A検査とTMT-B検査の両方に低下がみられるが、もしもTMT-B検査のみに著名な低下がみられた場合には、ワーキングメモリなどの障害が疑われ、前頭葉の機能低下が推測される。
準備する物品一覧
・消しゴム
・ストップウォッチ
評価方法・検査方法
どちらの検査も必ず練習用紙を用いて練習から行って本検査に移る。それぞれの検査の練習を行う際には、A検査であれば数字の1から順に線を結んでもらうことを説明し、B検査であれば数字と文字を交互に結んでもらうことを説明する。
また、最初から最後まで鉛筆を紙から浮かすことなく線を結んでもらうことを伝えておくこと。時間はストップウォッチで検査者が計測し、もし検査中になんらかの間違い等がみられたら、その旨を空白に記載しておくこと。
検査を行う上で注意する点
この検査は動作を必要とすることから麻痺や運動失調などが大きく影響するため、この検査だけでは純粋に注意機能などになんらかの障害があると断定まで難しい。
普段みられないケースではあるが、TMT-A検査よりTMT-B検査の所要時間が短い場合がある。これは半側空間無視やバリント症候群などのように視野全体を見渡すことに障害があれば、稀にAとBの所要時間が逆転する。
平均値またはカットオフ値
TMT-A検査の年齢別平均値
年齢群 | 平均時間 | 標準偏差 |
20歳代 | 66.9秒 | 15.4 |
30歳代 | 70.9秒 | 18.5 |
40歳代 | 87.2秒 | 27.9 |
50歳代 | 109.3秒 | 35.6 |
60歳代 | 157.6秒 | 65.8 |
TMT-B検査の年齢別平均値
年齢群 | 平均時間 | 標準偏差 |
20歳代 | 83.9秒 | 23.7 |
30歳代 | 90.1秒 | 25.3 |
40歳代 | 121.2秒 | 48.6 |
50歳代 | 150.2秒 | 51.3 |
60歳代 | 216.2秒 | 84.7 |
評価用紙・検査用紙のダウンロード先
下記から検査に必要な用紙をダウンロードすることができます。
間違い探し・かなひろい・TMT
※ 最初のページは間違い探しや仮名ひろいですので、後ろのページを参照してください。